クラッシュしたハードディスクの再利用

2012年1月11日

コンピュータを構成するパーツの中で一番壊れやすいのが今も昔もハードディスク(HDD)でしょう。
弊社でもハードディスクの交換作業は頻繁にありますので、クラッシュして使えなくなったハードディスクはどんどん増えていきます。
ところで、このハードディスクがデータを記憶する原理は、フロッピーディスクやカセットテープと同じく磁気を利用していますので、磁石に接触させないようにすることは取扱いの基本です。

ちなみに磁石にくっつけるとこうなるようです↓
日経PCオンライン:http://pc.nikkeibp….

そんな「磁石に弱い」というイメージですが、実はHDDの中には磁石が、しかも非常に強力な磁石が組み込まれています。
ちょっと、HDDを開けてみましょう。

ST340823A

ちなみにこのHDDは古いデスクトップ用3.5インチ、Seagate製 Uシリーズ5 [ST340823A] 40GB、2000年製造。古いですが、まだ生きています。

開けるにはT8のトルクスドライバが必要です。

HDD to open

開けてすぐに目につくのは、ディスク(プラッタ)で、この両面にデータが書き込まれています。
(このHDDはプラッタが2枚内蔵されていて、この下にも同じプラッタがあります)

ST340823A open

プラッタは金属製で(ガラス製もあります)、非常に高い鏡面精度を持った、滑らかな表面です(写真では天井の模様が反射して映り込んでいます)。
その上にデータを読み取るためのヘッドがあり、レコード針のような動きでプラッタ上を高速で移動します。

HDD内部のマグネット

で、どこに磁石があるかというと、ここです↑

これは、ヘッドを動かすためのアクチュエータと呼ばれる部分で、ヘッド・アームの根元を強力な磁石で挟み込んでいる構造です。アームの根元にはコイルが巻 かれており、コイルに流す電流によって(学校で習ったフレミングの左手の法則です)ヘッドを左右に動かすことができます。この構造はVCM(ボイス・コイ ル・モータ)といい、リニアモータの一種です。

では、磁石を取り外してみましょう。
非常に強力な希土類磁石が、アクチュエータの内側にしっかりと接着されていましたので、叩いてはずしてみました。

ハードディスクのマグネット

とにかく強力で、こんなのがHDD内部にあって大丈夫なのか?と心配になりますが、磁界はアクチュエータ外には漏れないようになっています。

これは3.5インチのHDDですが、ノートパソコン用の2.5インチのHDDや、CD/DVDドライブにも小さくて強力な希土類磁石が入っています。

各種希土類磁石

で、この磁石を例えば、

フリッジ・マグネットや、ペーパークリップ・ホルダーに…

希土類磁石の利用

さらに実用的な利用法を、知り合いの車のエンジニアに教えていただきました。それは、車のオイルフィルターにこの磁石をくっつけておくだけで、エンジン内から出る鉄粉の除去ができるというアイデアです。あとはオイルフィルターを交換すれば、鉄粉はオイルフィルターごと除去でき、磁石は続けて再利用できます。

プラッタを外して、これは鏡に使えるかも…

ハードディスクのプラッタ

※希土類磁石は非常に強力なので、磁気の影響を受けやすい物に近づけないよう注意が必要です。

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